命と引き換えの嗅覚
まさかの交通事故(青信号の横断歩道)で命が助かった代わりに嗅覚脱失。
私の場合は頭を強く打ったことが原因で嗅糸断裂(きゅうしだんれつ)・・・難治性。
鼻からのニオイを感知して脳へと伝えるコードの中に何万という糸が束ねられているそうで
そのコードが頭を打った衝撃でプツンと切れてしまったのだとか・・・
その糸は2ヶ月に1度、ターンオーバーをする性質を持っているため
分断された互いの糸がまた結びつこうとするのだとか・・・
ところがどっこい・・・相手を識別できない・・・
そりゃあ~そうだ。
目玉があるわけでも耳があるわけでも、ましてや声を持っているハズも無いもんねっ。
事故当初はなんのニオイもしない。
数か月後にはどんな香りにどのような反応するのかがまったくもってメチャクチャで
蕎麦はOK、饂飩はNGとか・・・ランチに“日替わり定食”など「とんでもない!」状態
それも・・・どんどんと変化してゆく。
数年が経ち、その『傾向と対策』も身に付いてきた。
この世で一番好きだった香りは桃の匂い・・・今は強烈なカビの臭いに変化。
そして大・大・大好きだったセロリも、オェっと瞬間にエズいてしまう・・・
香味野菜としていろんな料理に使用されていて、今では厄介な代物に。
生まれてから何度も死にかける私の命を助けるために
普段はあまり優しくしてはくれない私の神様は見事なアレンジをするものだ。
眼も見える・・・耳も聞こえる・・・話もできる・・・
つまり、自立できる…